「地域医療の温かさと厳しさ」~患者さんの人生に寄り添うということ~

皆さん、こんにちは!
よりそいクリニック院長の森岡 貴勢(もりおか たかせい)です。
当クリニックは兵庫区、長田区、中央区、須磨区の地域を中心に半径16km圏内で定期的に訪問診療を行なっています。

前回の記事では、私が救急医として経験したこと、そして離島での挫折についてお話しました。今回は、私が地域医療に転換するきっかけとなった高知の大栃診療所での経験について、詳しくお話したいと思います。

目次

高知の山奥、人口600人の町での出会い

五島列島での挫折経験から、「地域に根ざした医療をしたい」という想いが強くなった私は、高知県にある大栃診療所という小さな診療所で働くことになりました。

ここは、人口600人ほどの小さな町で、柚子の生産が盛んな地域です。診療所は山奥にあり、周囲は自然に囲まれています。

患者さんの生活に寄り添うということ

大栃診療所では、内科だけでなく、外科的な処置や訪問診療、さらには終末期医療まで、幅広い医療を提供する必要がありました。

地域の方々の生活リズムや価値観を尊重し、それぞれの患者さんに合わせた医療を心がけました。

例えば、柚子の収穫期には、患者さんが診療に来なくなるということもありました。当初は「なぜ来ないんだ?」と疑問に思いましたが、患者さんの生活を理解していくうちに、それが当たり前のことだと気づきました。

また、サバアレルギーがあるにも関わらず、美味しいからとサバの季節になるとサバを食べて、アナフィラキシーショックまで起こしてしまった患者さんもいました。

その時、私は「自分の生活リズムのある場所に住むことの大切さや大好きな食べ物との付き合い方」を学びました。

地域医療の厳しさ

大栃診療所のある町には、多職種と呼ばれるケアマネージャーさんや訪問看護師さん、ヘルパーさんなどはおらず、地域の方々がどうにか支え合って生活している状況でした。

老老介護をしているご夫婦で、旦那様が介護疲れから自死で亡くなってしまったというショッキングな出来事も経験しました。

一方で、アルコール依存症で職場を辞めざるを得なくなった男性が、家族さんとともに診療所まで来ていただいて、長時間思いや考えをお伺いしながら、納得していただいて離脱治療を経て職場に復帰できたという嬉しい出来事もありました。

大栃診療所での経験を通して、私は医療者としてだけでなく、人として患者さんと向き合うことの大切さを学びました。

次回は、私が「よりそいクリニック」を開業するに至った想いについてお話したいと思います。

お楽しみに!

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